じゃがいもは、土鍋でゆでる。「ゆでる」といっても、水はじゃがいもが1/3程度つかるくらいに抑え、ふたをして中火にかける。鍋から音が聞こえてくる。ポコポコが途中でグツグツに変わり、水分がなくなって、ジリジリになってきた。ここまで、およそ5~6分。もうちょっと火を通したいので、水を再び入れて、同じ作業を繰り返す。そう、じゃがいもの味を引き出すため、蒸し煮にしたかったんだ。ゆでるのと蒸すのでは、野菜の味が全然違う。ゆでるとおいしさがお湯に流れるので、野菜はできるだけ蒸したいのだけど、蒸し器がないので、こうやって蒸し煮にする。土鍋を使うと、焦げ付きにくい。 湯気を纏ったじゃがいもを指でちょんと触ると、皮がズルリとむけた。しっかり、しっかり火が通っている。じゃがいもがほっこり甘いから、マヨネーズは入れないが、ちょっと酸味がほしい。冷蔵庫を眺めていると、あるヒラメキが。「そうだ、ケイパーだ!」。スモークサーモンと一緒に食べる酸味と塩気があるあの小さな粒は、調味料代わりに刻んで入れる。野菜は、クレソンを。茎と葉を分け、葉をざく切りにしてふわっと入れた。綿棒で潰してペースト状になったじゃがいもの重さに負けないように、しゃきしゃきが残るように、木のスプーンを使って、ふわっと、ふわっと、絡めていく。味をしめるためにコショウをちょっと振って、できあがり。 春のある日の台所。無事、おいしい!が聞けましたとさ。 今日の一冊:散歩のとき何か食べたくなって/池波正太郎
by mikick5
| 2011-04-21 10:30
| 日々ごはん
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